神様のおもちゃ箱
「はい」
「あ、俺」
「あー、健吾くん。はいはい」
あー、って言われちゃった。
インターホンに出た由紀子さんの声は少し眠たそうだった。
部屋のドアが開き、彼女が出迎える。
スッピンのとろんとした目が俺を見た。
「ごめん、寝てた?」
「ううん、難しい本読んでたら、ちょっと眠くなっちゃっただけ」
「何読んでたの?」
「アインシュタインのね、相対性理論について…タイムマシーンがどうのとか」
「……無理すんなー、ネエさん」
「あー、今バカにしたなぁー?」
ずかずかと部屋に入り込む俺の後を追って、由紀子さんは口を膨らませて笑った。