神様のおもちゃ箱
「あーごめん、電話」
由紀子さんが俺に一言謝って、受話器を取った。
少しの間、由紀子さんの後ろ姿をぼーっと見てから、俺はちょっと暇になったので、立ち上がって冷蔵庫をあさった。
お、ダイエットコーラがある。
俺はそれを出し、ぷしっといい音を立てて開けて飲んだ。
ぴりっと喉を刺激が通過する。
“考えてみるけど――”
“勝手に決めないでってば――”
“分かってるよ――”
“大丈夫よ、その内――”
所々に会話が聞こえる。
どうやら電話の相手は、母親のようだった。
電話を切った由紀子さんは、小さく切れのいいため息をついた。
「ごめんね、電話。お母さんから」
「ため息なんてついて、どうしたの?」
すると由紀子さんは、やるせなさそうに笑った。