神様のおもちゃ箱

そんな気持ちと向き合う時

あんなに大人になりたいって思ってたくせに


本当は心のどこかで、何も知らない子供でいたいと思ってたんだ。


何も見えない暗闇で、一歩踏み出すことが、本当は物凄く

こわかったんだ。



ああ

俺と由紀子さんが一緒にいる事に意味があるのか、なんてくだらない疑問を、漠然とした未来への不安を


神様がおもちゃ箱の中にしまって、鍵をかけてしまえばいいのに。


そんで笑われて、馬鹿にされてもかまわない。



そうなればいいのに。



由紀子さんは大人で、俺は何も知らない、

いや本当は、知りすぎた子供だった。



靄の向こうに大人への階段を見つけてしまった子供。

それを哀しいと思ってしまった、ガキ。

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