神様のおもちゃ箱

涙が出るわけでも、食い下がるわけでも、怒りが湧き起こってくるわけでもなく

言い訳や、文句、繋ぎとめるような言葉も何も出ずに、俺はただ黙っていた。


由紀子さんも同じだった。


由紀子さんはもう一度、俺を見た。

唇を軽く噛んで、また俺に背を向けた。



「ごめんね」


消えそうな声。

その言葉が全てだった。


静かな部屋で

また洗濯機を揺らす音だけが、響いた。



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