神様のおもちゃ箱
これじゃあまるで、彼氏彼女の痴話喧嘩だ。
もちろん俺は望乃の彼氏じゃないし、望乃は俺の彼女じゃない。
また歩き出してしまう望乃を、俺はまた追いかける。
そうだよ。
俺たちは気の合う友達だ。
馬鹿やって、笑い合う友達だろ。
そうだろ?
俺は小さくため息をつく。
「そんなに俺が好きか、望乃」
真剣に言ったわけじゃない。
ただ、イツモノノリで。
望乃がピタっと立ち止まったので、俺も反射的に立ち止まる。
二人の距離、一メートルちょい。
俺がさらに近寄ろうとすると、望乃が振り返った。
その顔はかなり怒っていた。
「好きなんて言ってないでしょ、馬鹿!」
ば、馬鹿?
「おい、望乃っ」