神様のおもちゃ箱
「……はい?」
『あ、健吾くん?』
思わずガタッと椅子から飛び上がった。
――由紀子さん!?
「ど、どうしたんですか?」
俺の慌てた噛み噛みの反応をきいて、由紀子さんはイタズラな子供のような声を出した。
何かを企んでいるような感じでいひひっと笑う。
「あのー?」
俺は首を傾げる。
『健吾くん今、駅ビルのサーティーワンにいるでしょ!』
「…えっ!?」
俺は慌てて辺りを見渡した。
すると、パンフレットやピンクのスプーンなどが置いてある台の後ろに由紀子さんがいた。
そして耳に携帯を当てて、俺に手を振っている。
「やっぱり」
電話の声は、すぐに生声に変わった。
俺はあっけにとられながら、携帯の電源ボタンを押した。