神様のおもちゃ箱
暗い公園で、ちょうどこの場所は電灯に照らされている。
遊具のシーソーが、風で軋む音がした。
「私にも昔ねぇ、学生時代があったのよ~。高校の時はセーラー服着てたし、ルーズソックスだってはいてたんだから。
あ、今はもうはかないかぁ、ルーズソックスなんて」
へらへら笑いながら若かりし頃の話をする由紀子さんの横で、俺は立ち乗りしてブランコをこいだ。
何か言葉にできない思いを、力にこめてこぐ。
耳元で、ぐんっと風を切る音がする。
「健吾くんと望乃ちゃん見てると、若いっていいなぁーって思う。まだ18でしょ?あ、19か。すっごくお似合いなんだもん、二人。いいなぁ、青春――」
俺は静かにこぐのをやめて、しゃがみこんだ。
バランスをとって、木の板の上に留まる。
「…由紀子さんは、年上が好きなんだ?」
「え?」
目をじっと見つめたら、少し戸惑って目を逸らされた。