神様のおもちゃ箱

暗い公園で、ちょうどこの場所は電灯に照らされている。

遊具のシーソーが、風で軋む音がした。


「私にも昔ねぇ、学生時代があったのよ~。高校の時はセーラー服着てたし、ルーズソックスだってはいてたんだから。

あ、今はもうはかないかぁ、ルーズソックスなんて」


へらへら笑いながら若かりし頃の話をする由紀子さんの横で、俺は立ち乗りしてブランコをこいだ。

何か言葉にできない思いを、力にこめてこぐ。

耳元で、ぐんっと風を切る音がする。


「健吾くんと望乃ちゃん見てると、若いっていいなぁーって思う。まだ18でしょ?あ、19か。すっごくお似合いなんだもん、二人。いいなぁ、青春――」 


俺は静かにこぐのをやめて、しゃがみこんだ。

バランスをとって、木の板の上に留まる。


「…由紀子さんは、年上が好きなんだ?」

「え?」


目をじっと見つめたら、少し戸惑って目を逸らされた。


< 77 / 133 >

この作品をシェア

pagetop