神様のおもちゃ箱
第三章
天使のえくぼ
「このベッド、健吾くんの匂いする」
俺は床に散らかった服を拾って着ながら、ベッドに寝そべる由紀子さんを見た。
「え、男くさい?」
「ううん。何かね、安心する」
由紀子さんは、慌てて自分の体臭をチェックし出す俺を笑った。
――あの日キスして以来、俺たちは二人で頻繁に会うようになった。
こうして仕事終わりに俺の部屋に訪れるのも、あの酔っ払いの日を合わせればもう六回目だ。
俺がおもむろに由紀子さんを見ると、彼女はいたずらに微笑んだ。
よく分からないんだ。
この奇妙な関係。
俺は立派に恋人同士になった気でいても、由紀子さんはやっぱり俺を子ども扱いするから。