神様のおもちゃ箱
みにくい嫉妬
「だぁ!わっかんねぇー!こんなこと覚えて何になんだよ」
「しっ!」
輪が人差し指を口に当て、眉間にしわを寄せた。
「すいません……」
夏休み前、俺たち大学生には期末の試験が待ち受けていた。
レポートと、筆記の論述試験。
高校までのテストとは大分形式が違う。
今日は慣れない大学の構内にある図書館に勉強しに来たのだが、どうも静か過ぎて居心地が悪い。
周りを見渡すと、何だかどいつもこいつも頭が良さそうに見えてくる。
輪にも他人のフリをされる始末で、俺だけ何だか場違いだ。
輪は頭がいい。
努力家というより、天才肌なんだと思う。
もう勉強に飽きて、ペンを回し出した俺とは大違い…。
かりかりと輪が字を書く音を聞きながら、俺は体を後ろにのけぞって、口を尖らせ鼻と唇の間にペンを挟んでふざけていた。
――そういえば。