エリートな彼に恋してる。(更新停止中)






どのくらいトイレに篭っていただろう。

聞き覚えのある声の集団が廊下を通り、辺りは静かになった。

どうやら海崎さんが上手くまとめてくれたらしい。

ほっとため息が零れた。

それと同時にひどく寂しくなった。




女子トイレに一人きり。

一人だということを実感して……

一人が怖くなって。

一生一人だったらどうしようなんて思ったりして。

アルコールって、怖い。

あたしの頭の中をめちゃくちゃにして、めちゃくちゃな涙を流させる。





友達がいるからいいと思ったのに。

だけど、やっぱり嫌だ。

あたしは……

あたしは、奏が欲しい。




あたしの頬から、一筋の雫が落ちた。







「奏……」




あたしの口は、その名を呼ぶ。

ぶっきらぼうで、自己中。

だけど、あたしを狂わせて止まない人。




「奏……」




時々見せるその優しい顔に、ぐいぐい惹き寄せられる。




「好き……奏……」




あたしの意識は、闇の中に消えていった。






< 118 / 194 >

この作品をシェア

pagetop