カタオモイ
一瞬、ほんの一瞬だけニタリと笑ったカレは、私の手を掴んで、教室を出た。
いつも教室の隅っこで、世界を作る私たちに、クラスメイトは誰一人気が付かない。
「エミノ?」
「な、なんですか?」
「俺もね、エミノが好きなんだ。
抑エラレナインダ・・・」
「み、津くん?」
その瞬間、私は抱きしめられた。
強い力で。
「エミノ、エミノ、愛シテイルヨ?」
「津くん・・・」
私も負けじと抱きしめ返す。
「エミノ、この間はごめんね。
俺のせいで、エミノが傷ついた」
「俺のせいってどういうことですか?
そもそも、なんのことですか?」
「エミノ、害虫たちに囲まれてたでしょ?
あれ、俺のせいでしょ?
それなのに俺、守れなくて・・・」
「害虫・・・?
あぁ、姫子さんたちですね?」
「あいつらは、エミノを馬鹿にした害虫どもだ。
だから俺は、
あいつらを地獄に堕とした・・・」