ましろ物語
・・・冬の始め

「なあ、愛奈よ。」

「はっはい!!!なんですか?」

着付け中の愛奈を睨み付けるましろ。
機嫌が悪いみたいだ。

「正直、ましろには世話係は必要ない。わかるか?」

「はっはい!!!」

少しましろがにやける

「ほう・・・じゃあ何でお前は断らなかったのか?」

「え!え・・・あの、その・・・」

着付け中だというのにくるっと後ろの愛奈のほうを向いて上から睨み付ける

「なんだ!?はっきりと申せ!」

「それは・・・まっましろ様に、ひっ必要だと・・・」

いい終える前にましろが愛奈を蹴り飛ばす。

「愛奈?お前は我を子供あつかいしてるな?そうだろう?」

「いっいえ・・・そのようなことは・・・」

涙を目に浮かべる愛奈に蹴りをいれ続けるましろ。
ましろが結び途中の着物の帯をシュッとほどく。

「着付けもまともにできないやつにそんな事されるなんてな・・・」

「すっすいませ・・・」

もう一度蹴りをいれようとするましろを見て愛奈が目をつぶる

ガチャっとドアが開いた。

「おう・・・嘉代子か。」

「ましろおはよう。なんか変な音がしてs・・・」

嘉代子が痣だらけの愛奈を見つける。

「ちょっと!ましろ!愛奈に奈にしt・・・」

「なんだ?こいつは我をぶじょくしたんだ。報いを与えただけだ」

痣だらけの愛奈を顎で示す。

「愛奈・・・部屋にもどりな?」

嘉代子が心配そうな顔で見る。
すると、愛奈は逃げるように出ていく。

「ましろ・・・」

「我は何も悪くない。」

少しすねて言う。

「帯・・・結ぼっか?」

「・・・!ああ、頼む。」

嘉代子は着付けが異常に上手い!

「ありがとう」

「いいんですよ。」

嘉代子がニコッと微笑む。

「そういえば優が見当たらないが・・・」

「今は出掛けております。」

「そうか・・・ならいい。」

ましろが畳に染み込んだ愛奈の血を見てましろの顔がこわばる。

「きったねーな。」

「もうすぐタツキ様がお見栄になります。」

ドアの向こうで聞こえた。

「タツキか・・・」

すごく低い声だった。

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