ましろ物語
「今日からましろ様のお世話係をさせていただくタツキです。」

と、膝まずいて挨拶をするタツキを
見下ろしながらましろが言う。

「おい!土下座しろ。」

え?と、一瞬とまだったが、タツキは従う。
さっきと同じ挨拶を繰り返す。

「おい!させてくださいだ!ていせいいしろ!」

キョトンとしたタツキは一瞬またとまだったが、また従う。
そして挨拶を終えると、

「ふん。まあ悪くはないな。」

ましろは不気味な笑みを浮かべながら愛奈の方を見て言う。
愛奈はうつむく。

「じゃあな。我は仕事がある。嘉代子!こい!」

「はい。」

残された愛奈とタツキ。
二人共あまり社交的ではないようだ。

「・・・でっでは、わっ私はこれで。」

愛奈が立ち去ろうとすると・・・

「待って・・・少しここのことを・・・おし、えて、く、ださ、い、・・・」

息が途切れ途切れなタツキが必死に声をかける。
きっとましろのせいだろう。

「いいですよ?」

愛奈はすごく優しい笑顔で答える。

「ありがとう。愛奈さん。」

「私の名前を存じているのですか?嬉しいです。」

タツキの顔が赤くなる。
タツキはあまり女子と話したことがない。
タツキは愛奈が隠していた左腕を見て言った。

「それ・・・どうしたんですか?」

「・・・え?」

その腕には痣や、何かで深く切った後などがたくさん・・・
着物でいつもは隠れてるが、風がふいたせいで見えたらしい。

「べっ別に・・・何でもないよ!」

と、後ろに隠そうとする・・・
が、タツキはその腕をつかんだ。

「何があったの?」

鋭い猫目とは反対に優しく問いかけるタツキ。
愛奈は少し悲しい顔をして言う。

「私ね?昔・・・」

ここまで言って愛奈の目から大粒の涙が流れ出た。
そして立ち上がってまた優しい笑顔を見せた。

「この話はもっとお互いを知ってからにしましょうか?」

と言って走ってどっかへ行ってしまった。
タツキは罪悪感で一杯で立てなくなった。

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