白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
「俺たちとあの人たちに、親子関係とかそういうのは、ないんだ」
悔しいのは、理波ちゃんの親があんな人たちだったことぐらいで。
俺は、俺が恨みや怒りを覚えたこともない。
その存在を知らずに育った俺は、何と思うのかが普通なのかもわからなかった。
それまで黙っていた壱星(いちほし)が、静かに言った。
「……雅風。俺に、賭けさせてくれないか?」
いつも静かな瞳の光が、いつもより穏やかだった。
こいつはここまで言っても、まだ信じてくれているのか……。
ありがたいとも思えない。
ごめんな。
俺は、その提案に、 。そう答えた。