白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
「……あんがと」
「おう」
俺たちは、あの家で誰かを待っていたのだろうか。
いつまで経っても帰ってこない、いや姿を見たこともない誰かを。
世間的にはその人がいるのが当たり前で、俺たちはその人を待っているのが当たり前で。
俺たちを縛っていたのは。
ここを、帰ってくる場所を護らなきゃという想いではないかもしれない。
……俺たちを縛っていたのは、常識だったかもしれない。