白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
心臓が脈打った。
理波ちゃんと壱星がいた。
二人は来させないように、滝篠家で待っているように言ったのに――
「やっぱり、だったんだね、ふー」
理波ちゃんは少し首を傾げて、疲れたように微笑んだ。
二十年、疲れ続けて来たんだ……。
俺の姉ちゃんは……。
俺は咄嗟に答える言葉がない。
「いちくん、ごめんね。やっぱり私にはふーしかいなかったよ」
何度。
何度その台詞を、これから先言わせることになるのだろう。
そんな諦めだけの台詞。
「……ごめん」