白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
「何で壱星が謝るんだ?」
「俺が……巻き込んだから、こんな目に……三日前の時点で、二人は決心してたのに……」
「気にしないでよ、いちくん。私もここまではっきりしたら堂々とあの家を出られる」
「そだな。諦めっつか蹴りもつくわ」
理波ちゃんと肯き合っていると、いきなり壱星が理波ちゃんを抱き寄せた。
「いち――」
「理波、こんな時まで《姉》をしなくていい。雅風も」
静かな、たったそれだけの言葉に、