白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
8 現実とか
「あ、おかえりなさい、教授」
「おや、雅風くん。どうしたんだ? そんなに本を抱えて」
夜半過ぎに、滝篠教授が帰って来た。
俺はいくつもある書庫の中から本を抱えて出て来たところだった。
「少し、勉強してみたくなったんです」
「……心理学をかい?」
「はい」
カウンセラーとか、なりたいものがあるわけじゃない。