白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】
「ちゃんとやっていますよ。ってか、本人は意識的には関わらないようにしているみたいだけど、根が世話焼きなんですかね。
細々した手伝いをしちゃってますよ」
「……そうか」
滝篠教授は満足げに、どこか納得がいかないようにココアに手を付けた。
「……家は、どうだった」
「空っぽでした。と言うか、本当に俺たちには最初からなかったんだと思います」
淡々と答える。
これらのことに関して、俺は感情をつけて喋ることが出来ない。
「雅風くん、君は卑屈ではないな」
「はい?」
……滝篠教授の感想はよくわからなかった。