白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】


「私、ふーみたいになりたかったんだよ……」
え、
「おーい」
 



言葉する反応が遅れてしまい、ようやっと振り返った俺の目には理波ちゃんより先に、刹那が映った。



「ふー、理波ちゃーん」
 


小走りでやってきた刹那と、後方におじいさん先生こと武富医師。



ずいぶん腰が曲がったなあ。



「理波ちゃん」
 


呼ぶと、理波ちゃんは顔をあげた。



涙の跡があったから、ハンカチを渡す。



「大丈夫。帰ってもいいよ」
 


二人が来るにはまだ距離がある。



会話していても聞こえない。



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