愛してしまった。
奏太
おい‼︎
だいぶ走っていた亜希奈を呼び止めた。
亜希奈はその声で立ち止まった。
亜希奈
あんた…さっきの…?
奏太
そう。ねぇ、名前は?
亜希奈
なんで教えなきゃなんないの。
奏太
そっけないねぇ。なぁ、俺たち一緒に住まない⁇
亜希奈
は?
奏太
お前も嫌だろ、あんな知らない父親と住むの。俺も嫌なんだ、知らない母親と暮らすのなんて。
亜希奈
…。
奏太
知らない父親が出来るのと、このまま逃げ出すの、どっちがいい?
亜希奈
…逃げ出すの。
奏太
俺も。いいとこ知ってんだ、行こう。
奏太が歩き出すと、亜希奈はその後ろをゆっくりと歩き始めた。