ダレにも負けないぐらい愛してやる
バタンとドアの閉まる音が聞こえると響さんは、助手席のドアを開け怖い顔で私の手を引っ張ると車から下ろされ駅のホームに向かう。
やっぱり私なんて邪魔にしかないよね?引っ張られてる腕が痛い。響さんの目も凄く怖い。飽きられた。
グッと堪えた胸が苦しくて足を止める。
「陽織」
悲しい事なんて1つもない。怖い事なんてもっとない。だけど辛い。
「何泣いてるんだ、お前が望んだ事だろ?」
・・・望んだこと?
私の何が悪かったの?だって、お礼を言ったんだよ。もし響さんが必要なら、いつでも飛んでいきますって何がいけなかったの?
これ以上に何をすれば、喜んでもらえるの?ギリギリ掴まれている腕が痛い。でも、それ以上に自分の存在は響さんにとって通りすがり程度なんだって思うと苦しい。