続・銀髪姫と不良幹部
「…依亜?」


「く、くるんじゃねぇー!!!」


バキッ。


あっ…。


しまった、いつものクセで殴っちゃったよ…っ。


「し、失礼しましたー!」


呆然としている史音の腕を引っ張り、走ってお化け屋敷を出る。


「はぁ…はぁっ」


「…依亜」


「っえ?…きゃっ」


名前を呼ばれたかと思えば、いきなり抱きしめられた。


ちょっ、人に見られてるよっ。


史音は気にしていないのか、さっきよりも強く抱きしめてくる。


「…お化け屋敷、本当は怖いんだろ」


ば、バレてる!?


殴ったらそりゃあバレますよね。


うん、自業自得です。


声には出さず、こくりと頷く。


「言ってくれたらよかったのに」


「…禅が笑顔だったから」


だから言えなかった。


あの笑顔が消えてしまいそうで。


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