続・銀髪姫と不良幹部

ありがとう

「父さん、母さん」


「依亜?」


やせ細った2人。


その姿が今までの暮らしを表している。


「…捨てられたのは5歳の時。まだ幼かったけど、私は捨てられたってすぐにわかった」


これは今まで言えなかった相手への、私の本音。


伝わってほしいなんて思わない。


ただ、聞いてほしい。


私の思いを。


「あの時は辛くて寂しくて。このまま死のうとさえ思った」


寒い雪の中は油断したら凍え死ぬかと思ったくらい寒かった。


でも一番冷たかったのは、私の心。


涙さえ出なかった。


それはただ、捨てられたのを認めたくなかっただけかもしれない。


「だけどね、空にぃが私を見つけてくれたんだ」


今はここにいない空にぃ。


多分お仕事中かな?


あれでも一応社長だからね。


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