同居人は女社長
翌日もレッドが起きてくる頃にはエリンはもう出かけた後だった。

「ふう・・・若いからできるのかな。
それとも、もしかして早く帰るために?」


レッドがガオンティル社に出社すると、社内でも情報通と言われているオスカーが走りよってきた。


「レッド、レッドったらレッド・・・。きいて驚け!すごいスクープだ。」


「おいおい、オスカーの最近のスクープって週刊誌とほぼ同じだったんじゃないか。
それはそこまで大声出さなくていいぞ。」


「ち、違うんだよ。
あのさ、うちの若き常務がドネリティ社の代表のエリンティアに結婚を申しこむらしい。
これは人事と総務で話題にもなってるから確かな情報だぞ。」


「そうか、うちの常務がドネリティのエリンティアに・・・じゃあこの会社はもう安泰だな。
え?!はぁ・・・?エリンティアって・・・ドネリティの代表って・・・ひとりしかいないよな。
エリンティアってエリンのことじゃないか。

おい、どうしてそんなことになったんだ?」


「前々からうちのピンチを救ってほしいとドネリティに申し込んでいたらしいんだけど、ドネリティは断っていたらしいんだが・・・ここからは大きな声じゃ言えないんだけどな。」


「ああ、何かあるのか?」



「どうやらエリンティアの秘密を何かつかんだようなんだ。
それでその秘密をエサに脅しをかけて、婚約の席を設けたようだな。」


「秘密って何なんだ?」



「彼女が男とときどき夜に出かけているのが目撃されたらしい。」


「ぶぉっ!ゴホゴホゴホ。」


「おい、大丈夫か?」


「すまん、コーヒーが熱かったみたいで。
で・・・その男って誰なのかわかってるのか?」


「いや、体つきとか大きさの感じだと・・・そうだなぁ。
おまえみたいなタイプの男らしいぞ。」


「でも、おかしくはないか?
男といるのを発見したのに、どうしてそんな女に求婚するんだよ。」


「そうだなぁ。なぜだろう?
でも、その情報をつかんだ常務は目を輝かせてたらしいよ。

エリンティアはかなり美人らしいし、年齢だって25才なんてもういつでも嫁にいってもおかしくないもんな。」


「エリンって25なのか?まだ20才前後なのかと思ってた・・・。」


「おいおい、いくらよく見たことないからってそんな幼いわけないだろ。
そりゃ、先代社長が亡くなった後を継ぐからっていっても学生だったら学業に決まってるじゃないか。」


「あ・・・そうだな。」


「だけどさ。この縁組がうまくいったら俺たちの心労なんていっきにふっとんじまうよな。


「そ、そうだな・・・(おかしいな。エリンの話では損失は相当大きいのをドネリティは会社の上層部は知っているはずだ。
それを常務ひとりに結婚を任せるだけで解決する問題なのか?
おかしい・・・何かある。)」

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