同居人は女社長
翌日、ラングリオが港に着いたと連絡を受け、レッドはラングリオを迎えにいった。


エリンはひとりで昨日、リエッタが移動した場所を見てまわっていた。


「アイドルの道っていうのも、追っかけしてみるとけっこう楽しいわね。
かわいい服屋さん、眼鏡やさん、帽子屋さんもあるわ。
あっ、お菓子屋さんも・・・かわいいお店がいっぱい。

(そっか・・・この島の観光事業そのものにリエッタの手腕がいかされているわけね。)」


「泥棒ネコみたいにちょろちょろと後をつけないでくださる?
私はあなたに会う予定をいれてないわ。

ちょうどいい機会でもあるわ。あなたの会社をいただけなかったのは腹が立つし、デザイナーそのものがあなただったというのも誤算だったけど、旅行に行ってもらおうかしら・・・。」



「リエッタ・・・あなた・・・私のことを知ってたの?」


「ええ、嫌でも気になったわ。
小物にしても食器にしても、かわいくてしかも上品さがしっかりとしているという評価は頭にきたわ。

私が手掛けた小物はハデでかわいこぶってるだけで、気品が感じられないですって。
私はそういう批評なんてどうだっていいと思っていたけれど、あなたの姿を見て思ったの。

つぶしてあげる。
あなたのように品のある女性をとても好む男性のところに届けてあげるわ。
いってらっしゃい。ふふふふ。おほほほ。」



「リエッタ、どういうこと?
や、何なの、あなたたちは何なの?」


リエッタの後ろからきていた男2人に薬品をかがされて、エリンは車の中に放り込まれてしまった。

そして、リエッタはさっさと何もなかった顔をして、自分の会社の事務所へと向かい、エリンが乗った車はどこかへ連れ去られてしまった。


車に乗せられる直前、エリンはレッドに買ってもらった髪飾りを落としてしまった。


そして、その髪飾りがエリンが事件にまきこまれた証拠となったのであった。




「くそぉ・・・あのとき、エリンもいっしょに連れてラングを迎えにいっていれば、こんなことにはならなかったのに・・・。なんて俺はバカなんだ。」


「兄さん・・・脅迫とかまだ何も連絡はないんだし、とにかく手がかりを探さなくちゃ。
髪飾りを落としていくくらいだから、何かあるはずだよ。」



レッドとラングは髪飾りが落ちていた付近の聞き込みから開始した。

すると意外なことに、簡単に状況を説明してくれた店主がいた。


「リエッタ・マグナリークとしゃべっていたよ。
それから2人組の大きな男に抱きかかえられるようにして車に乗ってたかなぁ。」


「リエッタ嬢はどうしたんですか?」


「なんか会社に行くとかなんとか・・・男たちには例の男のところに送り付けるように・・・とか言ってたと思う。」


「例の男??誰だそれは?」


「わからん。わからんが遠そうな感じだった。」


「くそっ・・・エリン、どこに飛ばされたんだ。
これはリエッタ本人から情報を仕入れない限りダメだな。」
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