同居人は女社長
記憶がもどったエリンは予定より開店が遅くなった店をあけた。

「エリーズデザイン事務所」

できあがった商品はドネリティ社で販売しているが、エリンはデザインそのものを提供、販売する。

レッドの兄のマルティのところにも新しい器がドネリティから一式届けられ、料理とともに店もオシャレ度が増したと言われるようになった。



そして、ラングリオが罠を仕掛けていたリエッタのところにもエリンの事務所の話はいち早く届いていた。

「せっかくクリーブのところへ送ってあげたのに、救出されて家に帰っていたとはね・・・。

まあ、いいわ。
かわいいもので私に対抗する相手なんて、たたきつぶしてあげる。」



リエッタは早速、エリンにアイドルたちの衣装に使うデザインと、プロモーションビデオ用の小物類のデザインの発注をしてきた。


ラングリオがそれを受注し、手配を始める。


「よし、準備はオッケーだ。
何も知らずに発注してきたぞ。」


「ラングには、嫌な仕事をずっとさせちゃってごめんね。」


「君が気にすることはないよ。
もともとは名刺がないって理由でレッド兄貴が声をかけていたリエッタを僕がみてただけだから。」


「でもすごい人ね、アイドルの仕掛け人にしてグッズの売り上げでのしあがったなんて。」


「異母兄妹の兄のクリーブに嫌がらせする目的でできあがった会社だとも言われてるからね。」


「嫌がらせっていってもクリーブの会社は映画会社なのに?」


「映画で対抗しようにもリエッタには能力がなかったということだよ。
リエッタは我がままな金持ち娘だったんだ。

父親がなくなって、一人娘が継いだ。
ここまでは君と同じだけど・・・彼女は事業をするというよりも、気分で嫌がらせに走っている。

だからスタッフの出入りもはげしくて、ちょっと気に入らないとすぐにクビだそうだ。

そんな会社がまとまっていると思うかい?」



「経営者がスタッフをそんなふうに、扱ってはいけないわ。
だいたい、きちんと社員が育たないし・・・。」


「だろ?だから、どんどん注文させて、自滅していってもらうまでさ。」


「ラング、何を仕掛けたの?」


「ふふふ、君の記憶を奪って、生命も貞操も危険にさらしてくれた相手だよ。
このくらい、どったことはないでしょ。

不慣れなスタッフにどんどん発注させて失敗を重ねてもらうさ。
そして、こっちには有能な弁護士がいるから、損害賠償を請求していくまでさ。」



「もしかして、不慣れなスタッフって・・・?」


「うん、僕がスカウトしたやつらだよ。
個人的には訴えないと約束した上で協力してもらうことになっている。」


「まぁ・・・いつの間に!」



「エリンが眠りの世界に出かけているときにねっ。」
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