同居人は女社長
妹たちにリビングで好き放題いわれて遊ばれているところに、エリンがもどってきた。


「ただいまぁ。あっ、レッドリオさんすぐ準備しますから。」


「レッドだ。こいつらもそう言ってるし、俺も君をエリンと呼ぶからレッドでよろしく。」


「はい。ちょっと待ってくださいね。」



階段をバタバタを上がって行き、5分もしないうちにまたバタバタとエリンは降りてきた。


「お待たせしました。」


「おっ・・・かわいいな。
じゃあ、行こうか。」


ニヤついた顔の2人の妹に見送られながら俺たちは出かけていった。


「あの、妹さんは誘わなくてよかったんですか?」


「あいつらは、明日テストがあるんだよ。
学生の本分は学業だろ。」


「じゃあ、お兄さんなら勉強を見てあげるとか?」


「見てほしいときはあんなに騒がないからすぐにわかるし、俺のところじゃなくて兄貴のところへ出かけるだろ。」


「えっ・・・そうなの?」


「あいつらずっと俺たち兄弟のことを見て育ってきてるんだ。
誰が、自分たちに幸運をもたらすかをよく知ってるんだ。」


「なるほど・・・。」


「ぁあああ!そこで納得するかぁ?
俺がバカみたいだろうが・・・。

そりゃ、俺は遊びにいくときがいちばんあいつらを連れ出してるけどさぁ。」


「そうなんですね。
だから、私も・・・こうやって連れ出してくださったんですね。」


「迷惑じゃなかったか?
言っておくが俺は兄貴やラングほど洗練されてないから、レディファーストだとか気の利いたことはできないからな。
期待はするなよ。」


「は、はい。」


映画は家族向けのコメディ映画・・・食事はピザ主体のイタリアンのカジュアルなお店・・・ティーンエイジャーでも健全過ぎる展開で2人は遊覧船に乗っていた。


「酒はあまり強くないんだな。」


「ええ。どっちかっていうとお茶をたしなむ方が慣れています。」


「家族ではあんまり飲む機会はなかったのか?」


「ええ、仕事が忙しいこともありますし、母と私は夜は家でご飯の後はそれぞれ、手芸をしたり読書をしたりが多かったですね。」


「外には出なかったのか?
お父さんはどこにも連れていってくれないのか?」


「はい、小さい頃は何回か出かけたみたいですが、はっきりした記憶がありません。
大きくなってからは、家にいる方が楽というか、あたりまえというか・・・こんな海風にあたるなんて、ほんとに初めてで。

上を見上げたらこんなに星が出てることも忘れていました。」



「そっか・・・じゃ、船に乗ったのもよかったってことか。」


「はい。すごく気持ちがいいです。」


「やっと笑顔が見れた。」


「えっ・・?」
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