同居人は女社長
レッドの話をきいたエリンは、にっこり笑ってベンチから立ち上がった。

「ねぇ、私はレッドのご両親に好かれているかしら?」


「あたりまえだろ。俺の方がいつも怒られてばっかじゃないか。」


「そうじゃないの。私はいつもおばさんに怒られてるレッドがうらやましかった。
おじさんが後ろからお尻を蹴りあげてるのも、ステキだと思ったわ。」


「はぁ?エリンは俺のそんなカッコ悪いところばかり見てたの?」


「だって、すごく親子らしくていいなって・・・。
私はおばさんに殴られてないもん。」


「おい、母さんはそりゃ、エリンを殴ったりしないけど、ラングも殴ったりしないぞ。
つまりそれは、いい子だからだ!

俺はその・・・だらしなくて、あまったれで、見てられないと思うから・・・たぶん・・・。
おい、そんなこと自分でいうのは情けないぞ!」


「ぷっ、じゃ、そんなだらしのない人の奥さんになったら、私もぶたれるかしら?」


「へっ?」


「ぶたれるかしら?」


「ぶたれるな・・・俺が・・・。」


「そう・・・。」


「よし、めいっぱいぶたれる覚悟をして、両親に言ってやるよ。
エリンを俺の嫁さんにするってさ。

反論は許さない。
なにせ・・・社長命令だからなっ!あ~はははははは」


「何、それ・・・!」


それから2人は実家へと急ぐと、レッドの両親に婚約の話をした。


「レッド・・・大丈夫・・・?」


「だ、だいじょうぶ・・・れふ・・・・ごほっ!」


「兄さん、勇気を出したじゃないか。
父さんにボコボコにされる予感はあったはずなのに、堂々としてたね。」


「ラング!どうしておじさまは私とレッドが結婚するってきいてあんなひどいことしたのかしら?」


「それはね、レッドがここに戻る前・・・っていうか独身生活の真ん中まであとくされのない女ばかりと遊びほうけていたからね。

そんなバカ息子が清らかなお姫様をたぶらかして、結婚したいなんていったものだから・・・当然の結果というか、仕方ないんだよ。」


「そんなに女性関係が乱れた生活をしてたの?」


「乱れたっていうか・・・レッドらしいというかね・・・。
レッドは仕事に対しては真面目なのはわかるよね。」


「うん。」


「昔はね、マルティ兄さんの方が遊び人だった。
放蕩息子の典型だった。
それでレッドはそれを止めた。

それはマルティ兄さんの付き合ってた彼女が泣くからだ。
レッドがその女性を好きだったかどうかはわからないけど、男のために泣く女がかわいそうだとよく言ってた。

その後、マルティ兄さんは店をもって、今の家族をささえてがんばってる。
だけど、レッドは女性と普通に付き合えなくなってしまった。

細かいことは僕もきいたことはないけど、たぶん自分のことで泣かせたくないと思ったんじゃないかな。」

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