同居人は女社長
ユナ皇太子の言葉にレッドは握りこぶしに力をこめた。
(なんてやつだ・・・出てこないと寄付を打ち切るつもりか・・・。)
「ユナ皇太子、遅くなってすみません・・・。
じつは仕事で参加が遅くなってしまって。」
「おや、顔色がよくないねぇ。」
「ええ、ここんとこ大きな仕事があって眠れなかったものですから・・・」
「それはいけない。
ではすぐに私といっしょに邸へ行こう。
私の邸でゆっくり寝てもらってから、元気になるメニューを用意しよう。」
「あ、そこまでは及びません。
お邸の使用人の方々にご迷惑をおかけしてしまいますので、このまま殿下の隣で休ませていただければ具合はよくなると思います。」
「そうか。では部屋の外のソファで休もうか。」
「ええ。」
レッドはエリンが心配になってこっそり2人のあとを追った。
そして、会場になっている部屋を出て控室の前に差し掛かった時だった。
ユナ皇太子の控室の脇道にさっとエリンが入ると、どさっと音がしてドレス姿のエリンが颯爽と廊下を歩いて出ていった。
(どういうことなんだ?)
レッドがソファの上を見ると、すやすや眠っているユナ皇太子がいた。
「おお!お見事。」
ドレス姿でハデ美人のエリンを見つけたレッドは、嫌味っぽくつぶやいた。
「病弱の企業女戦士は武道の達人だったとはねぇ。
一瞬にして、国の代表を打ちのめし、早変わりして別人に・・・か。」
「サプライズでしょ。
でも、私のことよくわかりましたね。」
「ああ、においでわかるよ。
基本はいつもの香水だからね。」
「えっ・・・レッド。なんか意外・・・。
香水とか花束とか縁がない人だと思ってた。」
「おい、俺を見下げないでくれよ。
だけど、その格好じゃないとダメなのか。」
「仕方ないじゃない。我が社でもいつもの私じゃダメって指令が出てるんだから。」
「じゃあ、ハデ美人好きの30男の役を引き受けてやるよ。
お嬢さん、一曲お願いできますか?」
「ええ、よろこんで。うふふ」
「踊るのはいいが、俺も爆睡させないでくれよ。」
「展覧会が完全におひらきになったら帰ります。
とくに今日は用事もないですから。」
「そうだな。俺も、順番で出席するパーティーの回数稼ぎ要員だったから早く帰って、母さんの甘くないクッキーでもかじってワインでも飲みたい気分だ。」
「甘くないクッキーなんてあるの?」
「ああ、俺は小さい頃から甘いのは苦手でさ、それならって特製の甘くないヤツを焼いてくれるようになって、それをストックしている。
昨日焼いてくれたのが、あるのさ。」
「私もつまんでいい?」
「いいけど、条件がある。」
「なっ、何よ・・・おばさんが焼いてくれたんならレッドの許可なんていらないじゃない!」
「俺のためのクッキーなんだから、俺のだし。
条件は簡単だ。ケバケバハデハデはやめてくれること。」
「なぁ~んだ。OK!いつもの私で台所に入るだけよ。」
「じゃ、とりあえず解散な。」
(なんてやつだ・・・出てこないと寄付を打ち切るつもりか・・・。)
「ユナ皇太子、遅くなってすみません・・・。
じつは仕事で参加が遅くなってしまって。」
「おや、顔色がよくないねぇ。」
「ええ、ここんとこ大きな仕事があって眠れなかったものですから・・・」
「それはいけない。
ではすぐに私といっしょに邸へ行こう。
私の邸でゆっくり寝てもらってから、元気になるメニューを用意しよう。」
「あ、そこまでは及びません。
お邸の使用人の方々にご迷惑をおかけしてしまいますので、このまま殿下の隣で休ませていただければ具合はよくなると思います。」
「そうか。では部屋の外のソファで休もうか。」
「ええ。」
レッドはエリンが心配になってこっそり2人のあとを追った。
そして、会場になっている部屋を出て控室の前に差し掛かった時だった。
ユナ皇太子の控室の脇道にさっとエリンが入ると、どさっと音がしてドレス姿のエリンが颯爽と廊下を歩いて出ていった。
(どういうことなんだ?)
レッドがソファの上を見ると、すやすや眠っているユナ皇太子がいた。
「おお!お見事。」
ドレス姿でハデ美人のエリンを見つけたレッドは、嫌味っぽくつぶやいた。
「病弱の企業女戦士は武道の達人だったとはねぇ。
一瞬にして、国の代表を打ちのめし、早変わりして別人に・・・か。」
「サプライズでしょ。
でも、私のことよくわかりましたね。」
「ああ、においでわかるよ。
基本はいつもの香水だからね。」
「えっ・・・レッド。なんか意外・・・。
香水とか花束とか縁がない人だと思ってた。」
「おい、俺を見下げないでくれよ。
だけど、その格好じゃないとダメなのか。」
「仕方ないじゃない。我が社でもいつもの私じゃダメって指令が出てるんだから。」
「じゃあ、ハデ美人好きの30男の役を引き受けてやるよ。
お嬢さん、一曲お願いできますか?」
「ええ、よろこんで。うふふ」
「踊るのはいいが、俺も爆睡させないでくれよ。」
「展覧会が完全におひらきになったら帰ります。
とくに今日は用事もないですから。」
「そうだな。俺も、順番で出席するパーティーの回数稼ぎ要員だったから早く帰って、母さんの甘くないクッキーでもかじってワインでも飲みたい気分だ。」
「甘くないクッキーなんてあるの?」
「ああ、俺は小さい頃から甘いのは苦手でさ、それならって特製の甘くないヤツを焼いてくれるようになって、それをストックしている。
昨日焼いてくれたのが、あるのさ。」
「私もつまんでいい?」
「いいけど、条件がある。」
「なっ、何よ・・・おばさんが焼いてくれたんならレッドの許可なんていらないじゃない!」
「俺のためのクッキーなんだから、俺のだし。
条件は簡単だ。ケバケバハデハデはやめてくれること。」
「なぁ~んだ。OK!いつもの私で台所に入るだけよ。」
「じゃ、とりあえず解散な。」