苺なふたり
同じ小学校と中学校を卒業した私と信吾は、高校でも奇跡的に同じクラスだった。
その頃信吾への恋心をはっきりと自覚していた私は、一人でかなり盛り上がっていた。
幼稚園の頃からずっと一緒にいて、お互いの人生には欠かせない存在。
やっぱり、私と信吾は一緒に生きていく運命なんだと密かに納得し、近いうちに告白でもしてみようか。
ドキドキしながら考えていた。
おさななじみから恋人に昇格して、いっそ学生結婚でもいいかあ、なんて夢みてはぐふふと笑っていた。
そんな私の不気味な様子を生温い目で見ていたのが功司だった。
独りよがりな妄想に浸り、乙女な脳内で日々を過ごしていた私は、今思い返してもかなり痛い女の子だったな……。
そんな私に気づくことなく楽しい高校生活を送っていた信吾は、同じクラスの亜季と急速にその距離を縮め。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いというか、亜季以外は何も目に入らないとでもいうような、周囲にはばればれの恋愛モードを露わに見せ。
『亜季が大好きだ』
と私の知らぬ間に告白なんてことをやってのけた。
そして、高校入学以来、同じクラスで妙に気が合い仲良くしていた功司は信吾の気持ちを知っていて、亜季とうまくいくように後押しもしていたと。
落ち込みに落ち込んだ夏休みを経て迎えた二学期の始業式に、功司本人から聞かされた。
『だって、信吾と亜季なんて誰がどう見ても両想いのバカップルだったし。気づいてなかったのは百花くらいのもんだぞ』
私の気持ちもとっくに気付いていたと言って、そして。
『まあ、他にもいい男はいるさ』
よしよし、と頭を撫でてくれた。