ある男子高校生の恋愛事情


「まあ、カズくんは三井先輩のストーカーだからね」


…否定できない


「カズくん」

「ん?」


目を開けたら千夏が目の前にいたから
木目が見えなかった


「本当は嬉しいんでしょ?」

「何が?」



「三井先輩の指名で次期部長なんだから、
嬉しいんでしょ?」

「…ん」


「カズくんなら出来るよ」

「…ん」



「寂しいなら、試合に勝ち続けて引退を延ばしちゃえ」

「…ん」



そうだな


「ほら、起きて」と手を差し出されたから
千夏の手を掴んだ


「重い~」と言いながら頑張って手を引っ張るけど
千夏が非力すぎて、オレは床に寝たままだ



だから、自分で少し力を入れて起き上がった




「部長、引き受けるわ」

「うん」

< 12 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop