ある男子高校生の恋愛事情
―――
いつものように
階段の横の段差に二人で座る
「全く、千夏には敵わないな」
「そうかな」
そうだよ
手を繋ぎたいのに、繋がれて
振り回したいのに、振り回されて
ドキドキさせたいのに、ドキドキさせられて
浴衣姿が見たくて
色々と一人で妄想して
計画してたのが
全部台無しになったけど
「来てよかったな」
「では、連れてきてくれたお礼に」と
かき氷のストローを口元に持ってきた
「はい、口開けて」
…………………
良いのでしょうか。口を開けて良いのでしょうか
開けちゃいますよ?
開けたらどうなるか知っててやっているんですか?
「ほら、早く開けて」
開けたら、冷たくて甘かった
「メロン味でしょ?」