ある男子高校生の恋愛事情


「わーーーーー!!!!」と叫びながら校庭の端まで走っていってしまった


おーい

オレはどうしたら?呼んだなら放置しないで


「山口、何やってんだ?」

振り向けば「三井先輩…」



「なんか、瀬戸が走っていっちゃった」

「ふーん」


「どうしよ?」

「放っておけ。そういう気分なんだろ」


……………気分?

「色々と洗い流したいんだろ」

なるほど。何となく分かる


「三井先輩も来たら?冷たいよー」

「アホ。模試が近いんだ。無理。制服だし」


遠くで瀬戸が走ってるのが見える


「お前が付きやってやれ。代わりに帰りに使う傘を置いていってやる」

「え?三井先輩はどうすんの?」



「彼女に入れてもらうからいい」

あっそ…


「おかげさまで解決しましたので」

えっ

「一緒に住むの!?」

「まだ決めてないけどな
ま、大学はそれぞれ行くことで決定したからさ。

いずれ…って話をしてさ
しばらくの辛抱というか……まあ、不安は取り除けた」


へぇ


「すっげー」

自分で発言しといてなんだが
本当に実行させようとするあたりがスゴい


千夏の言ってた包容力ってこういうことなのか?


「じゃあな」と言って三井先輩は戻っていってしまった






さて、どうしようか

瀬戸は相変わらず走っているし


………よし

「瀬戸!!」

「…………」


「何周するんだ?」

「…………」


「じゃ、とりあえず20周で」

「……いいですよ」




知らない人が見ればなんて滑稽な光景なんだ

男2人が雨の中をひたすらランニング



ま、それで瀬戸のモヤモヤが無くなるならいいか



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