ある男子高校生の恋愛事情
―――
「お疲れ!!お先に!!!」
急げー!急いで家に帰らねば
「ただいまっ!!」
早く着替えて千夏の所に行かなきゃ!
勢いよく部屋のドアを開けたら
「おかえり~。学校行けたんだね」
「千夏っ!」
「騒がしいなあ。何事?」
あれ?普通だな
「……ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「なに?」
「オレ、昨日の夜さ……」
「も~大変だったよー」
やっぱり何かしてたんだ
「…何した?」
「床で寝るんだもん。重くて仕方なかったよ」
へ?
「ま、具合が良くなってよかった」
なんだよ。もう。母さんてば脅かして
「ところでさ、カズくん、あの、借りたいものがあるんだけど…」
「ん?」
「……Tシャツ」
「いいよ。好きなの持ってって」
「うん」と言って千夏はクローゼットに移動した
そうだ
「昨日はありがと」
「うん」
「体操の大会近いな」
「うん」
「…見に行ってもいい?」
「ダメ」
えー
「どうしてもダメ?」
「ダメ」
この前のこともあるから嫌なのかもな……
ここは引くべきか…
「分かった。ケガするなよ」
「……うん」