ある男子高校生の恋愛事情
―今、やるべきこととは何か
目を閉じれば
いつでも千夏を思い出す
“ほら、起きて”と天井の木目の代わりに見える千夏
“クンクン”って寄ってくる千夏
アイスが選べない千夏
宿題が嫌いな千夏
“あは”っていたずらをする千夏
スピード狂の千夏
下を向いて嘘をつく千夏
少しだけ不安そうな寝顔の千夏
“ごめんね”としたり顔の千夏
“任せなさい”とドヤ顔の千夏
“べー”と舌をだす千夏
体操が大好きな千夏
ああ、きりがない
思い出の比じゃない
記憶の比でもない
オレの中で千夏が息をしている
頭の中に、胸の中に、ココに、住んでる
だから
目を開けて、電車に飛び乗った