ある男子高校生の恋愛事情

そっと千夏を降ろした

目の前にある御賽銭箱


だけど今日は賽銭を投げにきたんじゃない


千夏の両手を握って向い合わせに立つ



「千夏」

「!」


驚いた顔してる

そりゃそうだ

話しちゃいけないルールなのにルールを破った



「今日は願いをしに来たんじゃない、叶えに来たんだ」

ギュッと握っている手に力を入れた




落ち着いて


千夏の顔をちゃんと見て


胸の鼓動をおさえて





「………あのね、千夏、知ってるかもしれないけど」


「オレは千夏が好きなんだ」



…………やっと、言えた




「オレさ、体中が千夏の毒で侵されちゃっててどうにもならないんだ」


「何をしてても
千夏のことばかり、考えてしまうんだ
千夏のことばかり、想っちゃって
千夏のことばかりで何も出来なくなってしまうんだ……だから助けてくれる?」



そう。情けないけど何も手につかないんだ



「「………………………」」



返事がないから

もう一度、つないでる手に力を込めた






「……私、解毒剤持ってないよ?」

「………………………」





「私も毒で侵されてるから」

…………………




「私もカズくんの毒でマヒしちゃってる」


それって

「……オレのこと好きだって思ってもいい?」



すると「………うん」と言って少し笑った



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