ある男子高校生の恋愛事情


―見てられない


平均台だって一番得意なのに



10センチの幅しかない板の上を

まるで床の上にいるように

大胆で華麗だったじゃないか




あんなに縮こまって

怯えてるように見える



小さいくせに

オレの胸までしか身長がないくせに



何を抱えてるんだよ
何を背負ってるんだよ


目の前の柵をグッと握る




目をそらしたくなるけど

ちゃんと見るんだ


闘ってるじゃないか

たった一人で

あんなに小さな体なのに闘ってるじゃないか




後悔しかない




母さんの言うとおりだ

オレにもっと思いやりがあれば

もっと気遣ってやれば



つまらない意地なんて張らないで

もっと早く謝ればよかった

もっと話を聞いてやればよかった

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