ある男子高校生の恋愛事情
絶対
絶対に
このまま帰さない
来たかったんだろ?
叶えたいことがあるんだろ?
握っていた左手を離して無理矢理抱っこした
「……え?カズくん?」
「今から話すの禁止だ」
絶対に連れていく
千夏の願いを叶えるんだ
抱っこしてるから足元がよく見えない
だからゆっくり歩く
改めて思う
コイツはとても小さくて
ビックリするくらい軽くて
それなのに
何も言わないで一人で闘ってる
もっと頼っていいんだぞ
もっと甘えていいんだぞ
もっと泣いていいんだぞ
お願いだから
傍にいてくれよ