ある男子高校生の恋愛事情
ただ歩く
千夏を乗せて歩く
自転車を漕ぎたくなかった
家にまだ着きたくなかったから
それと
また千夏がオレに捕まらなかったら、って
考えたら漕げなかった
怖かった
相変わらず千夏は黙ったままで
オレも黙ったままで
時間が止まったような錯覚に陥るけど
夕日はどんどん沈むから
ああ、現実なんだなと
思い知らされる
ふと、ある光景が蘇った
そうだ
あの場所へ行こう
あの場所なら、あそこならきっと…