ある男子高校生の恋愛事情
千夏の家に着いた
「遅くなったから、おばさんに説明するよ」
「大丈夫」
「千夏」
「……大丈夫だから」
ちっとも大丈夫な顔じゃない
なんでオレのこと怒らないんだ
なんで悔しいって泣かないんだ
なんで我慢するんだ
なんで感情を押し殺すんだ
千夏が玄関のドアに手をかけた
あ…
「千夏!」
何か、何か言わないと
「…ウチにアイスが沢山あるんだ
…食べきれなくて母さんに叱られるんだ」
「だから食べにきて」
「来るのがしんどかったら持っていくし、
電話くれれば迎えにいくから、だから……」
「うん」と言って、少しだけ笑ってくれた
「…絶対だぞ」
「うん」
そして「じゃあね」と言って家の中に入っていった