ある男子高校生の恋愛事情


自転車を押しながらトボトボと歩いた


千夏…


アイツの中に何があるんだ?

何を抱えて

何を思って

何を考えているんだ?



あんなに泣き虫だったのに

涙を一滴も見せない




―――ちょっと待て


足を止めた




よく思い出せ

千夏が最後に泣いたのはいつだ?


5年生の時に転んで泣いたのは憶えてる


でも、あれから泣いてない―?




泣き虫だって思ってたけど
オレが思い込んでただけか?



いや、アイツは泣き虫だ


今日だって、今頃きっと泣いてる


いつから一人で泣くようになった?


それとも他の誰かの前で泣いているのか?




――オレの前では泣かないのか?
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