ある男子高校生の恋愛事情
思わず寝ている千夏の頬に手をかけそうになった
でもやめた
すごく触りたかったけど
まだ触ったらいけない気がした
おかしなもんだ
すごく傍にいるのに
すごく近くにいるのに
触れない
近いのに遠いな
でも久しぶりに寝顔が見れたから、よかった
起こしちゃいけないから
そっと手を握って
また目をつぶったら
ほら、また千夏の匂いがする
いつだったか、二人で昼寝した日を思い出す
あの時、オレが先に起きてしまって
後から起きた千夏が“どこへ行ってたの?”と言って泣いた
でも、こうして
手をつないで寝れば
起きてもどこかへ行くことはできないから
安心だろ?
泣いてる理由は分からないけれど
理由がオレでなければいい
もう泣かせたくない