精一杯の「好き」をあいつに。
慧ちゃんは目が合うと、恥ずかしそうに前髪をいじった。
「あ、え、あ、そうなんだ」
小さいころから相談があればしてきたし、お互い隠しごとだってなかった私たち。
慧ちゃんに好きな人が出来たのは、多分、初めて。
だから、いきなりそんなこと言われて吃驚してるんだ。
そう思い、早まる鼓動を落ちつかせようと深呼吸する。
「みっちゃん動揺しすぎでしょ」
「あ、そ、そうかな?で、好きな人ってのは誰なの?」
笑う慧ちゃんにこれ以上追及されないように話しを振る。
慧ちゃんはほっぺたを掻きながらぽつり、と呟く。
「バスケ部の、マネージャーの1年の子」