根雪
「先生と一緒に・・・死ぬためですか?」
美知は小さく頷いた。それを見て曽我は胸に痛みを感じ、小さなため息をひとつついた。
「先生がいなくなってから、次に逢える時が来たら先生に誉めてもらいたくて、一生懸命勉強しました。それでも学校ではいじめられるし、父はすぐ怒るし殴るし、友達もいなくて楽しいことも嬉しいことも何もなかった。先生に会えることだけが希望で、いつかきっと先生を探して・・・でも再会した先生は孤独だった。誰もお見舞いに来ないし、誰とも話さない。明るい人だったのに、これから死んでいくのに、先生は一人ぼっちだった。
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