Rain~不良彼氏~
「……は」
伸びてきた腕の正体は鬼神。
左腕で私を後ろから抱きしめて、右手は開くはずだったドアを押さえていた。
「お前、いい加減にしろ」
聞こえてきたのは、ヘラヘラしている時とは比べものにならないくらい低い声。
「…はな、して」
「自分がどんな顔してるか分かってんのかよ」
「……」
「平気っつーなら、そんなつまんねぇ顔してんじゃねぇよ!」
扉を押さえる鬼神の右手に、力が入った気がした。