マリの毎日
声のする方に顔を向けると、そこにはゾンビのごとく起き上がったルイコがいました。


「あたし達の勝ちのようね!」

「俺らが犯人ほっとくわけねーだろ!」

「……今更真相なんて知りたくもないわよ。そんな、わかりきったこと。あんたなんかに騙されるわたくしじゃなくってよ!」

「ルイコ……!」


自分の世界に浸りきったルイコですが、なんだか心の広い子のようですね。

マリちゃん、ついさっきの見せつけちゅーを忘れたかのように、ええ、かのように。忘れたとは思いたくありません。にわとりじゃないんですから。
かのように、ルイコを崇めていました。


「くそっ……」


マリヨシがルイコの方を向いている隙に……キノは内ポから何かを取り出し……


「……ふっ……勝ったと思うなよ!」


キノは、ワリの腕の間をするりと抜けて、走り去って行ってしまいました。


「あっ……ちょっとワリ! 何やってんのよ! キノコ逃がしちゃったじゃない!」


顔をしかめるルイコ。
ワリは俯き、微動だにしない様子。


「……俺……」

「はあ? 何よ」

「俺……惚れちゃいました」

「え……」

「えっ、なになに、ワリ君ついにまじ告!? きゃあールイコ、なんて返事するっ?」


ああもういい、この子のKYぶりには計り知れないものがある。


「……ルイコじゃない……」

「なっ……まさか、マリに……?」


いつも余裕のない男、ヨシ。


「違う……俺、惚れた……」


……3人の脳裏を、嫌な予感がよぎる。

ワリのあげた顔は、桃色に染まっていました。
口が、開きます。


「……ヨシに」

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