マリの毎日
「……というわけで、何とか出場させて頂けませんか?」


ヨシワリが本部へ行くと、ルイコは必死な顔で棄権の取り消しを懇願していました。


「しかしですねえ、もう時間は……。会長に問い合わせますので、少々お待ちください」


そう言って電話を手にする本部の係員。

……と、その途端、ごく近くからコール音が聞こえました。

どうやら係員のお隣にいる、恰幅のいいご老人のケータイのようです。

老人は着信に気づき、ケータイを耳に当てました。


「どうした?」

「ご存知かとは思いますが、時間に遅れて来た出場者がですね……」


まさかとは思いましたが、係員の電話相手、「会長」とやらはこの老人のようです。

電話をする2人、その距離わずか30cm。


「何だこいつら……」


呆れ顔のワリ。

やがて会長はマリたち一行の方を向きました。


「お前らか! 遅れて来たという輩は!」


絶対電話受ける前から聞こえてたでしょ。


「は、はい……」


会長の剣幕にたじたじの4人。


「遅れたという理由は何じゃ!」


寝坊です。ね・ぼ・う。

しかしまさかそんな大事な日に寝坊をした本人、マリやルイコが言えるわけがありません。

ヘタレは問題外。

となると、残るはあいつ、ただ1人。

さあ、どう出るワリ。
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