マリの毎日
「最悪だあ……」

「やべーなー……まあ、俺らじゃんけんでシード勝ち取ったらしいから、まだ時間はあるし、練習しとくか!」

「そーだね……あたしたちも」


4人は肩を落としつつ、共用の練習用コートへ向かいました。


「今日、風強いわね」


サンバイザーをかぶり、なびく髪を両手で押さえながらルイコ。


「そうだね。ファースト、カットにした方がいいかも……」


BL疑惑の一件により、なんとなく信頼が深まったマリルイ。

天候を見定め打ち合わせをする2人はさながらテニスプレーヤ……いえ、当然ですよね。


「ヨシくんたち、違うコートだね」

「そりゃ男子と女子が同じコートでやるわけないでしょ……。応援、行けたらいいわね」


口の端だけで微笑んでいる気がしないでもないルイコは、内心ワリの活躍にでも期待をしているのでしょうか。


「あーら、そんなことなさっても無駄よ!」


ものっそい耳障りな高音の声が、ふいに2人背後から聞こえてきました。

ふりむくとそこに立っていたのは、どピンクのふりふりスコートを履いた美女……を、抱えた、タンクトップの大男でした。


「あんたたちは……! 桃と、ホウ・ヘイね!」

「なっ……何で!? ルイコ、知り合い?」


てゆーか男、中国人?


「お久しぶりね、ルイコ」


美女は男の首に巻きつけた手を離し、優雅に降り立ちました。


「さっきの言葉、どういう意味よ?」

「ふふ……それはね、あのヘナチョコペアとあたるのはこの私たちだからよ!」

「そんなっ……!?」

「何? ルイコ、教えてよ!」

「この2人はね……」


ルイコの顔には玉のような汗が浮かんでいます。
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