マリの毎日
「やれやれ……」


と、ため息をついてほっとするのも束の間、マリとルイコの試合の番は目前に近づいていました。

情報によれば、相手は出井事 姫と、栗 某子。
2人共パワーは強く、とくに栗 某子のスマッシュは強力だという。


さあ、ろくすっぽ練習なんぞしていないように見え得る2人、太刀打ちできるのでしょうか。




「お願いします!」


なんだかんだで試合開始。

ちなみにマリのラケットは本部でお借りしたものです。
みなさんは人に迷惑をかけない生き方をしましょうね。

4人はコートの真ん中で挨拶をしたのち、トスをしてサーブレシーブを決めます。

どうやらマリルイはレシーブに決まった模様。


「さあ来ーい!」


レシーブの構えをとり大声で叫ぶルイコ。

何言ってんだとか思わないでくださいね。言うもんなんですよ。テニスの試合。


ちなみにテニスにお詳しい方はマリこの前、前衛のワリと組んでたのに前衛やってんじゃんてお気づきになられるでしょうが、ワリはどちらでもいけるやつなんだということでよろしくお願いします。


ばこーん!


ゴム球のものとは思えぬ迫力のある音。

姫のボールはすさまじい回転ののち、コートを一瞬で通り過ぎました。


「きゃっ! 早すぎてとれないよお」

「……って、何やってんのルイコ! かわいい声出してる場合じゃないでしょー!」

「ごっ、ごめん」


だってこんなボール受けたことないんだもの。ルイコは心で続けました。

そう、マリやらヨシにこんな早いサーブが打てるわけありません。ということはそういった経験が全て不足しているわけです。マリルイヨシワリ共に。


(私はっ……私はっ、ヨシくんのために頑張るんだから!)


「来るよっ、マリ!」

「ぬおぉぉぉーーっ!」


――スカッ……
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